「その一杯がやる気を壊す」アルコールとドーパミンの関係

テストステロン基礎知識

皆さんは普段から酒を飲みますか?

私は無類の酒好きで、本当なら毎晩酒を飲みたいくらいですが、アルコールのデメリットを多く理解しているので週2、3回程度に抑えています。

今回はお酒好きにとって理解しておくべき、向き合うべき話をしていきます。

※私は過去、お酒のデメリットを調べたくないくらいの酒好きでした。酒が好きで得たもの失ったものはたくさんありますが、酒の正体を知り、正しく付き合うことで皆さんがより良い人生を送れると信じています。

今回の記事はこんな人におすすめだ!

・お酒がやめられない
・ついつい飲み過ぎてしまう

酒のデメリットを知り、もう一段階踏み込んで付き合い方を考えてみよう!

酒の歴史

酒は生きるために欠かせなかった!?

自然界でアルコールというのは多く存在します。

・熟し過ぎた果物

・樹液

・ハチミツ

・落ちた果物

これらにはが多く含まれ、そこに酵母が付き反応してできたものがアルコールなのです。

・サル

・ゾウ

・鳥

なども酔った行動をする観察も報告されており、自然界とアルコールは密接に関わっています。

人類と酒の出会い

人間は狩猟採集時代に

・果物

・穀物

・蜂蜜

を保存していました。

すると容器の中で発酵が起こり、飲むと気持ちよくなる飲み物ができたのです。

年代場所
約9000年前中国米+蜂蜜+果実酒
約6000年前メソポタミアビール
約5000年前エジプトビール
約3000年前中国蒸留酒

農耕文明と同時期に酒は存在しています。

古代エジプトの労働の対価は「パン」と「ビール」!?

この表は古代エジプトの労働者の1日あたりの配給例です。

食品
パン約1〜2kg
ビール約3〜4L
玉ねぎ少量
時々
ナツメヤシ時々

なるほど、ピラミッド作りの後は「パン」をつまみに「ビール」で乾杯ってことか。

実はそんなわけではないんだ。

安全な飲み物「アルコール」

当時の水は衛生状態が悪かった。

そんな中で発酵は

酸性

アルコール

煮沸工程

病原菌が減り、安全な飲み物とされていた。

他にも

高エネルギー

電解質が豊富

など、当時の人類にとってなくてはならない存在だった。

【時代別】日本人とアルコールの歴史

では日本人とアルコールの歴史を簡単にみていこう。

古代(弥生〜奈良)

古代では神事の道具として使われてきた。

代表例としては口噛み酒が挙げられ、庶民が日常的に飲むものではなかった。

中世(平安〜室町)

中世では権力と文化へと変化した。

この時代に清酒の原型麹の高度利用が確立し、支配層(貴族、武士)の社交ツールとなった。

江戸時代

ここで庶民の娯楽として発展する。

この時代で大量醸造技術流通網(樽廻船)が発達したことに当時の世界最大都市(江戸)に人口が密集した結果、居酒屋文化晩酌文化が発達。

当時の成人男性の年間平均酒量は54Lと現代よりも多かった。

明治〜昭和

国家の税収となる。

明治政府は酒税を導入し、一時、国家税収の30%を占めた。

戦後には

・会社文化

・接待文化

・飲みニケーション

が広まり、サラリーマン飲酒文化が完成する。

現代

は娯楽として残りつつも衰退傾向

若者の酒離れ

健康意識

SNS文化

などが影響し、日本人のアルコール消費量は

1996年をピーク→約30%減少

時代は変わっても、酒と人類は密接に関わってきている。

酒に強いって何?

世の中には、酒をどれだけ飲んでも平気な顔をしている「酒に強い人」と、すぐに顔が真っ赤になり、気持ち悪くなる「酒に弱い人」が存在する。

ではこの違いは何なのだろうか。

私は大きく3つの要因に分けられると考える。

アルコール分解の流れ

酒の強さを理解する上でアルコール分解の流れを知ることは大切だ。

アルコールアセトアルデヒド酢酸

この中でも身体にとって有害なアセトアルデヒドいかに処理するかが酒の強さを分ける

ALDH2アセトアルデヒド分解酵素

この中で酒が弱いとされる人はアセトアルデヒドを分解する酵素を持っていない人とされている。

遺伝型酵素活性体質日本人割合(目安)
**ALDH21/1正常酒に強い約55〜60%
**ALDH21/2約10〜20%顔が赤くなる・弱い約35〜40%
**ALDH22/2ほぼ0%ほぼ飲めない約3〜5%

このALDH2有毒なアセトアルデヒドを分解するわけだが日本人はALDH2が欠損している人の割合が多い。

アセトアルデヒドが分解できずに体内を巡ると

顔が赤くなる

頭痛がする

動悸

吐き気

などが発生する。

このALDH2欠損アジア人に多く、欧米人ではあまりみられないぞ。

欧米人がお酒に強いのはALDH2が関係していたんだね

アルコールの分解速度

多くのアセトアルデヒドを体内で増やさないためには、アルコールの分解を遅くする必要がある。

先ほどのアルコール分解のプロセスで解説したが、アルコールを分解するアセトアルデヒドが発生する。

このアルコールの分解速度早ければ早いほど多くのアセトアルデヒドが体内で生成されることとなる。

ADH18

これがアルコールを分解する酵素だ。

遺伝型酵素活性エタノール→アセトアルデヒド生成速度主な地域
ADH1B*1/*1低〜中遅い欧米・アフリカ
ADH1B*1/*2中〜高やや速い東アジア
ADH1B*2/*2非常に高い非常に速い日本・中国・韓国

このように日本人はアルコール(エタノール)の分解も早く、酒には弱い傾向のある民族だということが伺える。

アルコールの分解が早いからアセトアルデヒドが大量に発生して、、、

アセトアルデヒドの分解が遅いから体内に多く留まる。

体内の水分量が多い(体が大きい)

アルコールは水に溶けるため、体内の水分量の多い組織に分布する。

酒の強さ血中アルコール濃度の関係から

同じ量のアルコールを摂取した時に、体内の水分量が多い方薄まるため体の大きな人(水分量が多い人)の方が良いにくいとされる。

酒に強くなるってあるの?

僕も初めは、お酒飲めなかったんだけど、だんだん飲めるようになった気が。
酒に強くなることってあるの?

酒を飲み続けると、だんだん酔いにくくなるという経験をする人は少なくないだろう。

そのような人はMEOSが活性化している場合がある。

MEOSとは、アルコールやアセトアルデヒドを分解する酵素で慢性的な飲酒で活性化する。

慢性的なアルコール摂取は肝臓のCYP2E1(MEOSの主要酵素)を誘導し、エタノール代謝能力を増加させることが報告されている(Seitz & Wang, 2013)。

MEOS以外にも、脳の慣れなども関係しているぞ。

アルコール摂取のデメリット

次にアルコールがもたらすデメリットを考える。

アルコールは身体にとって悪影響が大きい。

その中でも私が問題だと思うのは

」と「テストステロン」の影響だ。

皆さん考えて欲しい、大量飲酒した次の日、意欲的に行動できるだろうか。

アルコールを摂取することで意欲が奪われる。これが何よりの問題だ。

脳に与える影響

アルコールが脳に与える影響を考える際に重要になってくるのは

人はなぜアルコールを飲むのかだ。

その答えは

ドーパミン

脳内でドーパミンが放出されると

快感・報酬感覚が発生する。

これは、食事性行動達成など、生存に必要な行動を強化する装置だ。

食事→獲物を狩る 

性行動→気になる異性を落とす 

達成→長期的に努力する

この苦労の先にあるものがドーパミンなわけだ。

しかしアルコールは飲むだけで快感を感じることができる。

ドーパミンを得るための努力が、アルコールを知ることで努力の必要がなくなるわけだ。

なぜ毎日、より多く飲みたくなるの?

ドーパミン受容体の減少

アルコールは一瞬多量ドーパミンを放出する。

脳にとって刺激が大きすぎ

ドーパミン受容体を減らす

という対策をとってしまう。

その結果ドーパミンを感じにくくなってしまい頻度を高めてしまうといったことが起こる。

ドーパミン合成低下

アルコールを長期にわたって摂取するとドーパミン受容体の減少とともに

ドーパミンの合成が低下してしまう

日常生活を送る際、分泌されるドーパミンが減ってしまうため

シラフじゃつまらないといったことが起こる。

まさに悪循環だね、飲めば飲むほど努力できなくなるのか。

テストステロンに与える影響

アルコールテストステロンに与える影響は絶大です。

まとめると

テストステロン生成工場の抑制

テストステロン生成命令の阻害

テストステロンを女性ホルモンに変換

テストステロンを多く作るために頑張っているのに、アルコールはこんなに悪影響なの!?

テストステロン生成工場の抑制

テストステロンは主に精巣のライディッヒ細胞で作られます。

しかしアルコールは

テストステロン合成酵素の活性低下

ライディッヒ細胞の機能低下

を引き起こし、体内のテストステロン量を

急性飲酒20〜30%

慢性飲酒それ以上低下させます。

テストステロン生成命令の阻害

テストステロンは以下の命令系統で作られる。

視床下部→下垂体→精巣→テストステロン

しかし

アルコールはここを乱し、「作れ」という命令を出せなくしてしまう

工場だけでなく事務所も攻撃か、、、

女性ホルモンを増やす

アルコールは体内に入るとアロマターゼ酵素を増やす

その結果

テストステロン→エストロゲン(女性ホルモン)

に変換されてしまう。

アルコール摂取は男性のテストステロンを低下させることが報告されている(Rojdmark et al., 2001)。
また慢性的なアルコール摂取はライディッヒ細胞の機能を抑制し、男性ホルモン低下を引き起こす(Van Thiel et al., 1974)。

私が考えるアルコールとの付き合い方

ここまでアルコールのデメリットを語ってきた私だが、前提として言いたいことがある。

アルコールは敵ではない

仲間とアルコールを飲んだ日、重要な仕事を達成した後の一杯、週末のリラックスタイム

酒を愛する人にとってアルコールは心の薬と言えます。

しかし

コントロールができないと薬物と同じです。

私たちの意欲を奪い、活力を失わせます。

ではどのようにアルコールと向き合っていけばいいのでしょうか。

過剰なドーパミン放出が原因

アルコールを摂取すると、先ほども述べたように

ドーパミンを簡単に得ることができてしまう。

それが意欲の喪失と、さらなるアルコール欲求を招く

それを防ぐには

過剰なドーパミン放出

ドーパミン受容体の減少

を少なくする必要がある。

酒を飲んでしまう根本(ドーパミン欲求)を対策し、アルコールによる身体への悪影響を減らそう。

1回の飲酒量を減らす

ドーパミンは「どれだけ急激に上げたか」に反応する。

大量飲酒は上げ幅が大きくドーパミン耐性が起こりやすい。

そのため大量飲酒を減らす必要がある。

今10杯飲んでいるのならば7、5、3と少しづつ減らしていき少ないアルコールでも満足できる状態を作っていくのがベストだ。

そうはいっても、ついつい飲みすぎてしまうからどうしよう

家に決まった量しか置かない
間に水を挟む
飲む時間を決める
など物理的にたくさん飲めない状況を作る必要がある。

2日連続で飲まない日を作る

なぜ二日連続で飲まない日を作ることが有効なのか

飲酒後のドーパミンの流れを見れば理解できる

飲酒→ドーパミン放出→ドーパミン受容体感度低下→回復(48時間後)

つまりドーパミン感度が回復し切る前にアルコールを飲むことで更に感度を下げてしまうという問題がある。

アルコールの離脱症状は飲酒後48時間から72時間後にピークに達する。

そこで飲まないことでドーパミンレベル正常に戻すことができる。

                                     

アルコールに依存していないかチェックも兼ねて二日禁酒してみよう!

身体への悪影響を減らすためには1週間のアルコール摂取量を減らそう

これまでドーパミンの観点から酒に依存する仕組みとそれによる意欲の低下について考えてきた。

これまでの話から酒好きのあなたも少し酒を減らす気になったのではないかと思う。

最後に目標にして欲しいことがある。

1週間の純アルコール摂取量を減らす

ということだ。

アルコールは身体にとっては有害で、その量が多ければ多いほど身体のさまざまな箇所で悪影響を与える

そのリスクを減らすためにも1週間単位で純アルコール摂取量を減らしてみることを勧める。

純アルコール摂取量の計算式

純アルコール量とは、酒に含まれるアルコールの重さでグラムで(g)表される。

計算式で

「量(ml)×度数(%)÷100×0.8」=純アルコール量(g)」

となる。

例えば350mlのビール(アルコール度数5%)だと

350×5÷100×0.8で答えは14gとなる。

このような計算を1週間行い、毎週のアルコール摂取量を記録することをお勧めする。

ちなみに私の先週の記録は

400gでした、、、

(この記事を書きながらアルコールの危険性を再確認しています。もう少し減らさなければ。ちなみに今日は我慢しました。)

まとめ

今回は酒のデメリットドーパミンという視点から考えてきた。

アルコールは人間が努力をしてようやく得られるドーパミンを簡単に放出させてしまう。

そして飲むことで活力ホルモンテストステロンも大幅に低下させる。

人間はアルコールを飲むことで得られるドーパミンを欲し、酒に依存してしまう

それを解決するためにも酒を飲む「頻度」と「」を減らし、1週間での「純アルコール摂取量」を減らす必要がある。

アルコール脳を支配するという仕組みを理解して、支配させない対策を自分で打たないとダメなんだね。

酒には人と人を繋ぐ重要なツールだ、しかし依存してしまうと破滅しかねない
適度な距離を持って良いアルコールライフを送ろう!

さ!執筆後の一杯、、、

嘘でしょ!?!?

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